3.宝石の街、テオフィロ・オトニ
テオフィロはミナスジェライス州にある内陸の街です。かつて研磨技術を持ったドイツ人が入植したことで、ブラジルにおける宝石の集積地として栄えるようになった街です。
初期の入植者としてドイツ人、それにレバノン人がいます。レバノン系ブラジル人の代表として、日産のカルロス=ゴーン元会長が思い浮かぶかと思います。
ブラジルの公用語がポルトガル語であることからついつい見逃されがちですが、ポルトガル人以外もブラジルに入植して街をつくった人たちはたくさんいます。ひと口にブラジル人と言っても、欧州各国から中東、アフリカ、東南アジアまで、その背景は実に様々なのです。
ちなみにテオフィロは中心部から外れると未だに道路の舗装も十分に行われていないような田舎町ですが、ブラジルで最初に電話が敷設された街でもあります。これは、入植したドイツ人の協力によるものだそうです。
街の中心に広場があり、昼間はいつも人で賑わっています。そして広場の近くに教会があるのは南米のほとんどの街に共通する特徴です。南米の街は広場&教会を中心に建設されています。
テオフィロの主要産業が宝石業であることは、予備知識なしにこの街を訪れた人でも一目でわかります。広場では宝石の露店が出ていますし、街の目抜き通りには宝飾品のお土産を扱うお店が立ち並んでいます。
道々には宝石を扱うコヘトール(ブローカー)たちがたむろしていて、少しでも買う気があると思われるとすぐに囲まれてしまいます。ガリンポ(宝石鉱山)が周囲にあることから研磨業者も点在していて、この街の産業を支えています。
車のドライバーですら宝石を扱っていて、街から空港までの道すがら、興味あるかとトルマリンのロットを見せてきました。1週間街に滞在した後では、驚き以上に「またか」という気分になりました。
次回はいよいよ4.宝石の買付けです。