閑話休題:ブラジルの食文化
今回の投稿は約2週間の滞在を通じて知ることとなったブラジルの食文化についてです。
ブラジルの昔ながらの食堂では、ランチはビュッフェ形式が基本です。ビュッフェと言っても食べ放題ではなく、重さで料金を決める量り売りスタイルです。
時に、ブラジルを代表する料理と言えば、鉄串で豪快に肉を焼くシュハスコが挙げられますが、このシュハスコもビュッフェに含まれます。シュハスコは(日本人にとっての寿司とは異なり)庶民が日常的に口にする料理なのです。
本当はいろいろな肉を試してみたかったのですが、英語が通じません。仕方なしに前の人が注文したのを指さして「自分も」という形でオーダーしていました。ちなみに一番おいしい部位はピッカーニャと呼ばれる牛イチボらしいです。
シュラスコは基本的に塩味ですが、お好みで唐辛子油をかけます。味はタバスコに非常によく似ていて、油かお酢かの違いでしかないようです。各家庭で作っていて、味が少しずつ異なるのだとか。
また、たいていどこの食堂も、入口にコーヒーとお茶のポットが設けられていました。気の利いた食堂ならば砂糖は別になっているのですが、たまに最初からコーヒーに砂糖が入っていて、その場合は例外なく激甘です。
内陸にあるこの街では新鮮な魚介類が手に入りません。代わりにタラの塩漬けが伝統的に食されています。「魚がないなら肉を食べればいいじゃない」と考えるかもしれませんが、タラの塩漬けは宗教的に重要な料理のようです。
ブラジルに限らず、スペイン・ポルトガルに征服された南米諸国はカトリックを信奉しています。(現代ではもっと緩い規則になっていますが)カトリックでは謝肉祭の翌日から40日間は鳥獣の肉を口にしない決まりになっていたそうなので、魚も大切な栄養源だったのです。
ちなみに、テオフィロに到着した初日の夕食はこのタラの塩漬けでした。大量のオリーブオイルとニンニクが使われていて、魚の臭みを消すのに腐心しているのがわかりました。
ややしょっぱかったですが、ビール&ガーリックライスとの相性が良く、非常においしく食べられました。
■パステル
小腹が空いた時の軽食として、具をカリッとした小麦粉の皮で包んだパステルという食べ物があります。皮広場近くのパステル屋さんでは、ひき肉、チーズ、ピザの3種類の味が提供されていました。
■アイスとピコレ
一年を通して気温が高いこと、南国でフルーツが豊富なことから、フルーツアイスは現地ではポップなスイーツです。アイスには量り売りのカップアイスと、ピコレと呼ばれる棒アイスがあります。カップアイスにトッピングして食べるのもいいですが、広場でクーラーボックスを持った露天商に売られているピコレもオツなものです。ピコレの味にはグアバやアサイー、グラヴィオーラ等の南米原産のフルーツがあり、どれも果肉感たっぷりでした。自家工場で加工しているからだそうです。
■マテコーラ
南米で飲まれている変わった飲料として、マテコーラがあります。コカコーラがもともとコカの葉を原料にしていたように、マテコーラはマテの葉から作っています。飲んでみると、強い甘みと薬品臭がして、私にはちょっと厳しかったです。
■カシャーサ
コヘトールからもらったサトウキビを原料とした蒸留酒です。テオフィロがあるミナスジェライス州はカシャーサづくりが盛んで、こういった『地酒』は高級品として扱われます。蒸留酒ですので度数は高いですが、アルコールに起因する甘さとスパイシーな香りには名状しがたい魅力がありました。一度ストレートで飲んでみることをお勧めします。
最終回である次回は5.FIPP ~宝石街のお祭り~です。